やなせたかしさん | とりどりみどり

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名前変えてみたけど、しっくり来なくて書きづらく、元に戻しますf^_^;
すいません、気まぐれで。
ものすごく不定期な更新のブログになってます。

やなせたかしさんが、お亡くなりになった。

このニュースを見たとき、最初に思ったのは、
「ああ、ついに…」
ということだった。
今年の夏も、アンパンマンの映画公開に合わせて、元気な姿を見せていらっしゃって、
「うわー、お元気だな」
と思ったけども、なんだか細い身体がひと回り小さくなったような気がしていたんだ。

ネットにあげられてたアンパンマンの歌詞を読んでたら、ホロホロ泣けてきました。
私は確かに、やなせさんに心を救われてた時期がある。

やなせたかしさんと言えば、何と言ってもアンパンマンだけど、
私にとっては「詩とメルヘン」のやなせさんだった。

読者が投稿する詩やショートストーリーを、美しいイラストと共に掲載する雑誌で、私が読み始めたのは20歳くらいの時だった。
確か、徹子の部屋がきっかけじゃなかったかなぁ。
アンパンマンは、もちろん前から知ってたけど、それとは全然違うイラストとタイトルに惹かれた。
高校時代文芸部だったので、単純に興味もありましたしね。

「詩とメルヘン」は、やなせさんが責任編集ということで、投稿作品全てに目を通し、掲載作品を選び、それぞれにコメントを書き、表紙のイラストを描き、前記とあとがきを書き、とにかく全てに関わっておられた。
体調崩して入院している時もずっと。

いわゆる叙情詩が中心で、「文芸としては認められない雑誌」と良く書いていらっしゃったけど、読者に愛された雑誌だった。
ここから巣立っていったイラストレーターや作家も多い。
葉祥明さんとか、おおた慶文さんとか、きたのじゅんこさんとか、小手毬るいさんとか。

詩を書く人というのは、心に何らかの苦しみを持っている人も多く、
(恋をしたら誰しもポエマーになるでしょう。多少ストレスがなければ表現しようとあんまり思わないもんです)
「詩とメルヘン」を心の拠り所にしている読者も多かった。
ちょっと疲れた人を、ほんわり包み込んで、時には背中をポンと叩いて送り出してくれる、そんな雑誌だったのです。
やなせさんも、それを良く分かっていらして、「詩とメルヘンが無ければ、死んじゃいそうな人がいるからやめられない」なんて、よく冗談めかして書いておられた。

もちろん作品がメインですから、読者はその作品を楽しみに見るのです。
普通の人が書いてるから、日常的で分かりやすく、共感度も高い。
投稿作品の他に、特集として紹介する作品にも、一定のポリシーがありました。
ひとことで言えば、「上品な作品」だな。
新旧問わず取り上げていて、時には歌詞にもスポットを当てていた。
私が須賀敦子さんを知ったのも、この雑誌です。

商業的な要素のほとんどない雑誌なので、もちろん採算が取れるはずもなく、2003年には休刊になった。
ところが、読者のためにやなせさんは、かまくら春秋というところから
「詩とファンタジー」とタイトルを変えて復刊するのです!

私も「詩とファンタジー」、何号か買いました。
でも、自分にとっての必要のない時期だったので、ここ数年は買わなかった。

訃報を聞いて、雑誌はどうなってるんだろう?と思って、ホームページをみてみた。
今年の夏号まで、出版されていた。
表紙も、相変わらずファンタジックで美しかった。
ライフワークというか、ほとんど人助けのように、やってらっしゃったんじゃないかと思う。

また本屋さんで、探してみようかな…。
やなせさん、ありがとうございました。
どうぞゆっくり休んでください。